歴史と技術
夜空を色どる七彩の華・花火
美しい色と変化の妙
花火は天正年間(1588年頃)に火術とともにオランダ、ポルトガルから伝来し、主に「のろし」など戦い合図として用いられました。その後、享保18年(1733)の両国川開きを契機として、日本の花火は独自の発達を遂げ始めます。江戸時代の花火は、木炭の燃える時の暗いオレンジ色でした。当時の花火は色彩の変化に乏しく、単調でしかも光が弱かったようです。明治12年(1879)頃、外国から塩素酸カリウムが入るようになって、花火は次第に美しい色を出せるようになりました。現在では、金属化合物の「炎色反応」を利用して、多彩な色を表現することができます。
たとえば、
赤…炭酸ストロンチウム、
緑…硝酸バリウム
黄…シュウ酸ナトリウム
青…酸化銅
紫…赤と青を混合
白(銀)・‥アルミニウム
金(錦)・‥チタン合金など。
打揚げのしくみ
雷8連発打揚げ花火の仕掛け図 鉄やステンレス、グラスファイバーなどの筒を杭や土嚢、ラッシングベルトなどで地面にしつかり固定し、打揚げ用の火薬を入れ、花火の玉(煙火玉)を静かに込めます。火種を筒の中に投げ入れると、「爆燃」という現象がおきて瞬時にガスが発生し、煙火玉が上空に発射されるのです。また、同時に煙火玉の導火線(玉導)に着火することで、上空で開くしくみになっています。
※煙火玉の導火線(玉導)の長さによって上空で開発(破裂)するまでの秒数が変わり、大きさによって玉が開く高さも変わります。
玉の大きさと開いた時の大きさ
※保安距離とは、安全確保のために法律で定められた打揚げ場所から観客や付近の建物までの一定の距離のことで、都道府県によって異なります。(「広島県規定の保安距離」をご参照ください)
広島県規定の保安距離 |
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号数 | 玉の外径 | 開発高 | 開花直径 | 保安距離2級 |
2.5 | 7.5cm | 80m | 50m | 65m |
3 | 9cm | 120m | 100m | 100m |
4 | 12cm | 150m | 120m | 110m |
5 | 18cm | 200m | 150m | 180m |
6 | 18cm | 220m | 180m | 190m |
8 | 24cm | 280m | 250m | 210m |
10 | 30cm | 300m | 280m | 240m |
20 | 60cm | 450m | 450m | 300m |
保安距離は二級の場合の半径を示す。(二級は消費数量300個以下の場合) 玉の大きさや開く高さはおおよその平均値。
そもそも、「煙火」って?
ヤシ芯入千輪菊黄金千輪菊一般に言うところの「花火」は、火薬取締法で「煙火」と呼ばれています。「煙火」は①誰でもおもちゃ屋やネットで買え、消費できる「がん具煙火」②花火大会で打揚げるものや合図に使う雷などの「煙火」に大別されます。当社の主力取り扱い商品は②の煙火のみ。また、「煙火」は「打揚煙火」「仕掛煙火」「その他の煙火」に分類されており、その概要は以下のようなものです。
●打揚煙火(煙火玉)
【割物】菊、牡丹、型物。一般に花火大会で多く見られるもの
【ぽか物】段雷、分砲、吊物など。曲物ともいう。
●仕掛煙火
【枠 仕 掛】絵図、文字が出現するもの
【綱 仕 掛】ナイアガラ
【煙火玉仕掛】スターマインなど
水中花火ナイアガラ【立火仕掛】乱玉、噴水、手簡など‥
●その他の煙火
競技用紙雷管、発煙筒、動物駆逐用煙火など